がんゲノム医療について

更新日 2025年03月27日

がんゲノム医療とは

 がんゲノム医療とは、患者さんのがん細胞のゲノム(遺伝子を含む遺伝情報の全体)を調べて、どの遺伝子に変化が生じているのかを解析することにより、がんの性質を明らかにしたり、一人ひとりの体質や症状に合わせた治療等を行う医療のことをいいます。
 日本では、2019年6月より、がんゲノム医療のひとつである「がん遺伝子パネル検査」の一部で保険適用され、保険診療のもとでがんゲノム医療が受けられるようになったことにより、普及が進みました。
 なお、肺がん、大腸がん、乳がんなど一部のがんでは、標準治療として、医師が必要と判断した場合に、1つまたは少数の遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」を行い、検査結果をもとに薬を選ぶ治療が行われていますが、1つまたは少数の遺伝子を調べるがん遺伝子検査は、がんゲノム医療とは異なります。

がん遺伝子パネル検査とは

 がん遺伝子パネル検査とは、がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べ、がんの特徴を知るための検査です。がんの特徴が分かれば、一人ひとりに適した治療法を探すことができます。具体的には、手術などで採取されたがん組織を用いて、高速で大量のゲノムの情報を読み取る「次世代シークエンサー」という解析装置を使って、1度に多くの遺伝子を同時に調べて、その中で起きている遺伝子の変化を確認します。
 検査結果は、「エキスパートパネル」と呼ばれる専門家の集まりで検討し、担当医はエキスパートパネルで話し合われた結果を参考にして、治療法を患者さんに提案します。

 なお、がん遺伝子パネル検査は誰でも受けられるわけではありません。一般的には、①標準治療がない固形がん、②局所進行もしくは転移があり、標準治療が終了した(終了見込みを含む)固形がんの人で、次の新たな薬物療法を希望する場合に検討します。また、全身状態などの条件もあります。

 また、検査の結果、治療に結び付く遺伝子の変化が見つからない場合もあります。がんの種類にもよりますが、治療選択に役立つ可能性がある遺伝子の変化は、約半数の患者さんで見つかります。しかし、遺伝子の変化があっても、使用できる薬がない場合もあり、がん遺伝子パネル検査の結果を受けて、自分に合う薬の使用(臨床試験を含む)に結び付く人は全体の10%程度といわれています。

東京都内でがんゲノム医療が行われている病院

 「がんゲノム医療中核拠点病院」、「がんゲノム医療拠点病院」、「がんゲノム医療連携病院」等において、がん遺伝子パネル検査に基づく診断や治療が行われています。

 「がんゲノム医療中核拠点病院」、「がんゲノム医療拠点病院」は、全国どこにいても、がんゲノム医療を受けられる体制を構築するため、国が定めた整備指針に基づき、国が指定します。
 「がんゲノム医療連携病院」は、がんゲノム医療中核拠点病院又はがんゲノム医療拠点病院から連携先として選定され、がんゲノム医療中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院と連携しながら、がんゲノム医療の提供を行っております。

 がんゲノム医療が行われている東京都内の病院については、下記をご覧ください。

がんゲノム医療中核拠点病院

病院名/住所 連携先病院
がん研究会有明病院
江東区有明3-8-31
昭和大学病院、群馬大学医学部附属病院
国立がん研究センター中央病院
中央区築地5-1-1
東京都立駒込病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、日本医科大学付属病院、東京慈恵会医科大学附属病院、聖路加国際病院、横浜市立市民病院、栃木県立がんセンター、群馬県立がんセンター、富山県立中央病院、名古屋市立大学病院、京都府立医科大学附属病院
東京大学医学部附属病院
文京区本郷7-3-1
国立国際医療研究センター病院、虎の門病院、NTT東日本関東病院、東京都立墨東病院、帝京大学医学部附属病院、日本大学医学部附属板橋病院、日本赤十字社医療センター、自治医科大学附属さいたま医療センター、山梨大学医学部附属病院、自治医科大学附属病院、獨協医科大学病院
慶應義塾大学病院
新宿区信濃町35
東邦大学医療センター大森病院、東京医療センター、東京医科大学病院、東京医科大学八王子医療センター、東京女子医科大学附属足立医療センター、東京都立小児総合医療センター、北里大学病院、さいたま市立病院、茨城県立中央病院、恵佑会札幌病院、済生会宇都宮病院、金沢医科大学病院、中部国際医療センター、宮崎大学医学部附属病院、福岡大学病院、沖縄県立中部病院

がんゲノム医療拠点病院

病院名/住所 連携先病院
東京科学大学病院
文京区湯島1-5-45
武蔵野赤十字病院、東京都立多摩総合医療センター、横須賀共済病院、総合病院土浦協同病院
国立成育医療研究センター
世田谷区大蔵2-10-1
静岡県立こども病院

がんゲノム医療連携病院

病院名/住所 連携先病院
東京都立駒込病院
文京区本駒込3-18-22
国立がん研究センター中央病院
東京慈恵会医科大学附属病院
港区西新橋3-19-18
国立がん研究センター中央病院
虎の門病院
港区虎ノ門2-2-2
東京大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
文京区本郷3-1-3
国立がん研究センター中央病院
日本医科大学付属病院
文京区千駄木1-1-5
国立がん研究センター中央病院
聖路加国際病院
中央区明石町9-1
国立がん研究センター中央病院
東京都立墨東病院
墨田区江東橋4-23-15
東京大学医学部附属病院
NTT東日本関東病院
品川区東五反田5-9-22
東京大学医学部附属病院
昭和大学病院
品川区旗の台1-5-8
がん研究会有明病院
東邦大学医療センター大森病院
大田区大森西6ー11ー1
慶應義塾大学病院
国立病院機構東京医療センター
目黒区東が丘2-5-1
慶應義塾大学病院
日本赤十字社医療センター
渋谷区広尾4-1-22
東京大学医学部附属病院
国立国際医療センター
新宿区戸山1-21-1
東京大学医学部附属病院
東京医科大学病院
新宿区西新宿6-7-1
慶應義塾大学病院
帝京大学医学部附属病院
板橋区加賀2-11-1
東京大学医学部附属病院
日本大学医学部附属板橋病院
板橋区大谷口上町30番1号
東京大学医学部附属病院
東京医科大学八王子医療センター
八王子市館町1163番地
慶應義塾大学病院
武蔵野赤十字病院
武蔵野市境南町1-26-1
東京科学大学病院
杏林大学医学部付属病院
三鷹市新川6-20-2
国立がん研究センター東病院
東京都立多摩総合医療センター
府中市武蔵台2-8-29
東京科学大学病院
東京女子医科大学附属足立医療センター
足立区江北4-33-1
慶應義塾大学病院
東京都立小児総合医療センター
府中市武蔵台2丁目8番地29号
慶應義塾大学病院

がんゲノム医療を受けたいときには、まずは担当医に相談しましょう。また、お近くのがん相談支援センターでも相談することができます。

参考サイト

下記のサイトでは、がんゲノム医療について詳しく解説されています。

 

がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件や全国の指定状況等の詳細については、下記をご覧ください。