更新日 2025年03月14日
相談する
科学的根拠に基づかない情報にご注意ください
インターネットや出版物には、「がん」に関する情報があふれています。便利な反面、"科学的根拠(エビデンス)に基づかない情報"も数多く氾濫しているのが現状です。
科学的根拠(エビデンス)とは、「ある治療法が、ある病気・ケガに対して効果的である」という論への、科学的な検証結果による「裏付け」のことです。
SNSで情報を集めるリスク
SNSでは、「科学的根拠(エビデンス)に基づかない」情報も、構造的に拡散されやすい傾向にあります。投稿された情報に対して「科学的根拠(エビデンス)に基づいた否定」が行われていても、他の人がまた同様の内容を投稿するなどして、拡散されてしまった情報はなかなか消えることはありません。
その一例として、SNSで「ビワの種子の粉末ががんに効果がある」という誤った情報が広まりました。
ビワなどバラ科の植物の種子には、体内で有毒なシアン化水素を生成するアミグダリンが含まれており、粉末などにして大量に摂取すると中毒症状をおこす恐れがあります。海外では、同じくバラ科のアンズの種子を大量に摂取したことによる健康被害事例や死亡例も報告されており、農林水産省による注意喚起が行われています。ビワ、アミグダリンに抗がん効果があるという説に科学的根拠はありません。
農林水産省 ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう
東京都保健医療局 ビワの種子には、有害な物質が含まれていることがあるって本当ですか?【食品安全FAQ】
このように、「科学的根拠(エビデンス)に基づかない情報」には、本来避けられるはずの健康被害を引き起こす可能性もあり、大きなリスクをはらんでいます。
「がん患者」を狙ったビジネス
SNSだけでなく、メディアや出版物の情報にもリスクが潜んでいます。ビジネスを目的としてメディアや出版物を通じて宣伝された、効果が確認されていない高額なサプリメントや健康器具、科学的根拠(エビデンス)の乏しい療法に多額なお金をつぎ込んでしまい、生活困窮に陥ったというケースも珍しくありません。
また、「がん細胞が自滅する」という根拠のない効能を謳って健康食品を高額で販売していた業者や、「がんが治った」「腫瘍が消える」と主張して通常の水と変わらない成分の水を高額で販売していた業者など、違法性が認められ、逮捕にいたった事例も多くあります。
特定の食品ががんを治すという主張や、特定のサプリメントががんを消すという広告など、簡単に劇的な効果が得られるとする情報には気をつける必要があります。
最も大切なこと
科学的根拠(エビデンス)に基づかない情報は、健康リスクや経済的な損失を被るだけでなく、なにより適切な治療を受けるべき大切な機会と時間を、がん患者から奪うことになりかねません。
がん治療に関する情報を探す際には、科学的根拠(エビデンス)に基づく治療法を提供する、信頼できる医療機関や専門家の意見を参考にすることが重要です。
科学的根拠(エビデンス)に基づく治療法は、世界中で行われた臨床試験の結果を検討し、多くの専門家によってその有効性と安全性が確認されています。現時点で最善とされる治療法は、これらの専門家の合意によって確立した「標準治療」となっています。
また、がん相談支援センターでは、がん患者やその家族が直面する様々な不安や困難をサポートするための情報を提供しています。
不安や恐怖につけ込む、耳当たりの良い情報に惑わされることのないよう、がんの治療にあたって疑問や不安が生じた際は、主治医の先生やがん相談支援センターへご相談ください。
医療機関ウェブサイトで大げさな広告を見つけたら
厚生労働省は、『医療広告ガイドライン』に違反する可能性のあるウェブサイトの情報を受け付けるための通報窓口「医療機関ネットパトロール」を開設しています。
虚偽広告や誇大広告、大げさな表示が掲載されていると思われた場合には、この窓口を通じて情報提供をお願いいたします